2003年に書いた文章を読み直しています。

☆☆☆☆☆☆


○サイレント・フルート
2003年10月3日
知ってる人は知っている、ブルース・リー原案の求道物。

当時のハリウッドでは東洋人主演は無理との事で、怪しい怪しいデビッド・キャラダインが『燃えよカンフー』に続いて主役を務めた。彼を師と仰ぐ若者は70年代のB級マッチョ映画で良く見かけるジェフ・クーパー君。

私にとってのキャラダイン三兄弟は子供の頃から馴染みのある俳優達で好きなのだが、師父にとっては敬愛する李小龍師父の活躍の場を奪った憎き仇のような存在らしい。(笑)

ストーリーはもしかしたらブルースー・リーが作った物と少し違っているかも知れないが、それでも「求道者にとっての求道とは」という答えの無い問いをかなり判り易く表現している方だと思う。

ジャッキー・チェン主演「ラッシュ・アワー2」の監督が「白人社会では、きちんと説明しないと理解されない表現が、アジアには沢山ある」と言っていたが、それだからこそこの「サイレント・フルート」は判り易く「変形」されてしまったのかもだ。

今の香港・中国映画のスタッフでリメイクして欲しい作品の一つだ。地味だけどね。

その時、この映画の中で吹かれていたフルートはキチンと縦笛になってくれるだろうか。信じられない格好でデビツド・キャラダインは横笛として吹いていたけど・・・。横笛としても、カッチョ悪くないか・・・?

あれって「簫」とかいう長い長い縦笛なんじゃないの ? 

音は限りなく低くて静か。なのにしっかりと響き、かなり遠くの空気まで振動させて音が伝わっていく。

ヒロはアジアの何処かの安宿にいた時、その珍しい笛を持つ男と出会ってからその笛をずっと探していたんだそうだ。

四年前に、品川のティンガ・ティンガハウスに入荷したと聞き、一緒に買いに行こうと誘ってくれた事がある。

実物は、まるで細い「竹刀」か「日本刀」の様で、紙に包まれたその笛を無精ひげに丸刈りで180センチのヒロが持っていると、まるで右翼の殴り込みみたいに見えた。

「逮捕されそうだ」とからかうと、えらくご満悦な顔で日本刀を構えるような格好をして見せたっけ。

あの笛は特別な紙を貼らないと、きちんとした音を出すことが出来ない。中国の笛はその手のタイプが多いのか、専用の紙は香港の楽器店にもちゃんと商品として置いてある。油紙のような、いわゆるブーブー紙なのだが、他の紙で代用しようと思うと紙の厚さで音がガラリと変わってしまう。そんな所が、会う人で人生が変わってしまう所に掛けていたのかなぁとも思う。すごいな、ブルース・リーは。

ああ・・・、それをお土産として渡したすぐ後に、ケンカしちゃったんだよなぁ・・・・

もうすぐ「魔の10月10日」がまた来るよ。なんでこの時期に、グッドタイミングでこの映画見直したんだろか。

ううううううぅぅぅぅぅ。泣くしかないよぉ〜

ヒロちゃんごめんね〜

ヒロの笛が聞きたいよ〜

あの時ヒロの為に中国の簫の第一人者のCD買ってきてたんだよん。会った時に貸し出ししようと思ってたのに。

癒し系のオリジナル曲で良いんだよ。

「天国に響く調べ」と称されるその簫の音をヒロの演奏で聞きたいよぅぅぅぅぅぅ。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

2021年5月加筆

蕭奏者 張維良

https://www.youtube.com/watch?v=XMWnS608Mug





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