渡川前

2013年4月29日 不思議な話
暗い夜だった。

雲の中をヒラヒラと、白く光る何かがとんでいる。


雲は私たちが居る石造りのテラスより遥か下にある。


それを欄干越しに見降ろして、師父が「superガール」と言った。


白人の兄さんが立ったままの姿勢で、荒れた流れの川に、小さなボートで漕ぎ出して行くのが見える。


あれはゴンドラ乗りだろうか?


川のほとりで、義母が死んだ娘の遺した孫娘たちの話をしている。


犬と、猫を飼っている、と。


気づくと、私は義母と二人で対岸の村に居た。


正確には、対岸らしき場所にいた。


川の流れが今までと反対に有ったのでそう思ったのだが、渡った覚えは無い。


多分、まだ、渡ってはいないのだろう。


そこは寂れた北の漁村の様な場所で、荒くれ者御用達と言った風情の食堂が有る。


義母に「橋が有れば良いのにね」と言ったら、少し寂しそうな顔をした。


あんなに荒れた暗く淋しい川岸にいる人を、今まで見た事がない。







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