「執生」という言葉。

ジョン・ウー監督作品「ハードボイルド」の中で、トニー・レオンとチョウ・ユンファが敵に追われて別々に逃げる時に、この言葉を使った。

日常生活では使わない言葉なので知らなかったんだけど、意味は「生き抜けっ!」というのだとか。

生に執着しろというのが、いかにも大陸らしい言葉だなぁ。


そう言えば中国語のさようならは「再見」再び会いましょう、またあなたと私は再び顔を会わせましょうだ。


次の機会に希望を繋げていて、いい言葉だなぁと思う。


フランス語の映画の中で「アディユーは嫌い」というセリフがあった。二度と会いたくない場合に使うと。


日本語の別れ際の言葉で良く使うのは「さようなら」。左様ならば御暇致し候。の略だわな。


再び会いましょうの意味は無い。だから殆どの人がその後に「またね」と付ける。

「さよなら、またね」これで次に繋ぐ言葉になる。



不測の大災害で突然逝かざるを得なかった方達は、誰ひとりこの言葉を言いたくなかった筈だ。


「生き抜いてくれっ!」と言って別れられた人達が何人いただろう。


被災した方達の、悲惨な話が次々に出て来て聞くのが辛くなる。でもしっかりと聞くのも残された者の務めでもあるのだよ。


節電・節食・節買い。今この時も、日本国内から海外の観光客や日本在住の外国人方達が、どんどん出て行ってしまっている。


これが只の、なんらかの配電ミスによる都市大停電だけだったら、私達の帰宅難民話しは、呑気なハイキング顛末記で大いに笑えただろう。


また、単なる一度の地震だけなら、怖かったねで終われたろう。


でも今まさにこの時、放射能被曝の危険を顧みずに、懸命な修復作業をしてくれている人達がいる。


日本列島の、龍のおとし子に良く似た姿の張り出した胸の部分にあった多くの市町村が、無残な姿になってしまい、信じられない人達が、今雪の降る中で身を寄せ合っている。


津波から助け出されても泥まみれで着替える事も出来ず、手や顔を洗う事も出来ない人達もいる。


さらに、まだ発見されていない取り残された地域で、救援物資も無く生きている人達だっているのだ。


私達は、本当にどうしたらいいんだろう。


無事でいて下さい。生き抜いて下さい。


がんばって、頑張ってください。


そう祈るしか、ない。


祈りが通じてほしい。