昼顔

2008年10月29日 映画
原作が読みたいなぁと思った。


絶版らしく、古本屋かアマゾンで探さないとダメらしいし文体もちょい古らしいから、もしかしたら読みにくいかもな。



誰か現代語訳してくれないかすら。


そこのフランス語専攻のチミ。頼むよ。(って誰に言ってるのか・・・)


それとも探せばあるのか、新刊?



この物語には、40年近く経った後の主人公達の物語「夜顔」も作られていて、主人公に横恋慕しながらも果たせず、嫉妬と憎悪から彼女の家庭を精神的に貶めた男を同じ俳優が演じているという。


後で観てみませう。



話がとても今風で、発表された当時はかなりの誤解を持って読まれてたんではなかろうかとも思える内容だ。


幼い頃大人の男に性的なイタズラをされた(どの程度かは映像では分からない)主人公が、一応恋人と結婚するもののセックスが怖くて夫と同じベッドで寝られない。
そこが彼女の負い目になり、自分の性生活への不満にもなっていて、見知らぬ男との自虐的な快楽に溺れようと娼館で働き始めるくだりまでの、夫婦の関係がいまいち分からない。



自分に優しく理解の有る人とは出来ないけど、何の関係もなく物の様に扱う男となら出来るという無機質なセックスを求める心の奥には、家庭に対する嫌悪や歪んだ愛情なんかがゴチャゴチャしてる筈。


ああ、知りたい。



時折織り込まれる彼女の妄想の中に、ものすごいドMな深層心理を吐露しているシーンがあり、40年近く前では「女ってのは、結局ムリヤリ犯されたり支配されるのを願ってるのさ」という誤解を招いたろうなぁとも思う。そんな批評をしている人のを「スクリーン」か何かで読んだ記憶があるもの。


で、この映画は長く「観たくない」種類の作品になっていたんだわ。


これも大きな誤解なんだけどね。それとも読み違いしてただけかなぁ。なにせ小学生だったもんなぁ。理解の範疇を越えてたな、この作品は。




それに「アンダルシアの犬」撮った監督だけになぁ・・・。観客の誤解は覚悟の上だろ。



まぁ、どう取ろうと、結局は観客の勝手なんだけどね。



もしかしたら、ただ単に若くて綺麗なカトリーヌを虐めてみたかっただけかもだし。監督と原作者の趣味でね。



優しく知性も理性も兼ね備えたお金持ちの夫との何不自由無い生活の中で、唯一得られない悦楽。


娼婦を買った事が有る?


という妻の質問にも「結婚前なら、何度かあるよ」と素直に告白する誠実な夫。


好みの女を選んで、30分間楽しんで(早いと思うが、そんなもんか?)そのあと空しくなるんだという夫の言葉は、主人公の何処にどのようにしみ込んで行くのか?


23歳の若妻には、まるっきりピンとも響かなかった様にも思える。


それでも夫に対して「快楽を越えた愛情を感じている」と言う彼女は、単に若かっただけか?単なる若気の至りか?


結婚に至るまでの過程が、ものすごく知りたいと思ったよ。


心はどうでも身体の相性が良く合ったチンピラに対する彼女の感情も、いまいち掴みにくい。



だけど、あまりに感性が合うので怖くなって身を引くというのは、それだけ夫に対する愛情がある証拠?


単に夫を棄てて走るには、あまりに未来がなさすぎと思う打算?


そこんとこをね、もっとディープに突き詰めて欲しいよなぁ。


身体の相性が良い=愛してる=自分の物=束縛して当たり前=邪魔者は消せ


こんな単純な発想しか出来ないチンピラ。頭は弱いけど身体はタフで兇暴な、各国共通の犯罪者のステレオタイプも、この歳になって見ると「ヤパイ奴」ばかりではすまされない感情も湧いてくるよ。


どんな育ち方したのかなとかね。可哀想に思えるからねぇ、自分でびっくりなんですけど。


そんな彼女が出会う数々の男たちの描き方も皮肉っぽくてユーモラスで、貴族やおえら方の変態趣味なんてのはブニュエルっぽいと言えばブニュエルぽい。


それにモンゴルか日本か中華系か分からない、何語を喋ってるのかも分からない謎の東洋人の持ってる「ゲイシャ・クラブ・カード」っつーのもね。笑い処なのかすらねぇ・・・


まぁ、コトの後ぐったりベッドに突っ伏した彼女の言う「今までにない快感だったわ」というセリフで救われるんだがの、アジアの漢達は。



最後は制作側に言わせると「ハッピー・エンド」なんだとか。



ホントかい。びっくりだよ。


結局女という生き物は、実生活よりも自身の妄想の中に本当の快楽を求める生き物って訳なんでしょうか。



と言うよりも、男は一生かけても、どんなに努力しても、女の求める女にとっての本物の快楽を、貪欲で底なしの悦楽を与えることは出来ないのだという、男としての正直な敗北宣言なんでしょうか。



与えられないのならいっその事、この夫の様になってしまった方が戦線離脱出来るからまだましとでも言うのかい。



キミはぼくの面倒だけを見てくれよハニー。ママンみたいに、看護婦さんみたいにねっ!とでも言うつもりか?ろくに夜の御勤めも果たさずに。


だんだん誰に言ってるのか判らなくなって来たぞ・・・師父か?


そこんとこを原作者と監督に聞いてみたかったわね。



どっかに残ってないか、そんなインタビューかなにか。







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