合縁奇縁

2008年7月1日 エッセイ
合縁奇縁
大変お恥ずかしい話なんだが、昔は「浅草寺」を「あさくさでら」と読んでいた時期があった。だからニュースで耳にする「せんそうじ」というのは、近くに有る別のお寺だとばかり思っていたのだ。

当然お寺のとなりに「浅草(あさくさ)神社」がある事なんか知らない。だから「三社祭り」は「せんそうじ」のお祭りだとばかり思っていた。

そんなわしなので、浅草神社のお稲荷さんを知るはずも無く、仲見世仕事を始めてから、ある日知った。

というのも、仕事がある日は必ずお寺と神社にお参りに行くんだけど、長い事裏のお稲荷さんに全く気がつかなかったのだ。

半年か一年近く経ったある日、ふと浅草神社の脇にある小さめの鳥居が見えた時にはもう、何と言うか、ビックラしたのだった。

神社だって、お寺の隣にドーンと有るのに最初は何だかよく判らないでいたのだわ。

まぁ、単純にバカなんだがの。


こんな風に、「その時」が来るまで隠されているかのように目に入らない建物や出会わない人、聞いても理解出来ない言葉や事柄が世の中には沢山溢れている。

面白いなぁと、シミジミ思う。だからこそ「出会ってしまった、知ってしまった」事には真摯に向き合いたいと思うわけだ。

最近そのお稲荷さんの所で、「毎日巣鴨からお参りに来てるんだよ」という自転車乗りの兄さんと出会った。

今まで一度も遭った事がない人だけど、こんな風に時間とタイミングがピタッと合うと出会える人がいる。


巣鴨はわしが初めて上京して一人暮らしを始めた駒込の隣駅で、休みになるとよく刺抜き地蔵さんまで散歩に行ったので、都内でも特に愛着のある地域だ。

雨の中合羽を着て自転車に跨る兄さんに、思わず「お地蔵様に宜しくお伝え下さい」と言うと、彼は物凄い笑顔で「よく撫でときますよっ!」と元気に答え、颯爽と帰っていった。

そういえば、お地蔵様の少し先に都電が走っていて、その路線あたりにヒロちゃんのお姉さんが住んでいたそうだ。

わしが駒込にいた頃。

で、高校生の頃彼も時々休みには遊びに来ていたという。

近くに居ながら出会えそうで出会えない縁もある。

何と言っても、その頃のわしは「都電」の存在すら知らなかったマヌケなんだから・・・・・

そういえば先日久しぶりに術師にメールしたら「星の軌道を遠く外れておりました。すみません」とレスが来た。

軌道を外れたと言っても、私達は既に出会ってしまっているんだから、同じ銀河系に属してるのは確か。

唯一無比な流れ星でもない限りは、大抵太陽の周りをグルグル回ってるんだから、離れるにはそれなりの理由があるのさ。

まぁ、これからもチンタラ楽しくやりまひょな、だな。

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