ISBN:B0013HEL2C 雑誌 地球丸 2008/02/20 ¥590
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オツムの中と同じで、わしの髪の毛は硬質なクルクル天パーである。

なので湿気が多いと非常に厄介だ。

きちんと結い上げていれば形が整い艶もあるので、それなりに見られるのだが、ほったらかしていたら、ただのボサボサ山姥の様になってしまう。

だから子供の頃から洗いっぱなしにしていても真っ直ぐな髪、またはふわふわの柔らかいカールした髪に憧れていた。

それも思春期から20代位までの話で、今はこう言うものだと受け入れられてもいるんだがの。

だけどやっぱり、なんでもないシンプルなストンとしたキャミソール・ドレスをノーブラで着ても清清しい人に憧れる。


スッピンで洗いざらしの髪を風になびかせながら、午後の強い太陽を浴びタンクトップに短パンで海辺を歩き、アイスクリームを頬張る。そんな日常に憧れる。


何でもないこんな事。だけど世の中には、この何でもない事をしたくても出来無い人が沢山いるのだ。

内臓の病気が元で、薬を塗り続けないとどうしても乾燥してしまう髪や皮膚を持つ人達。生まれつきの遺伝的な病気や薬の副作用で、紫外線を浴びると皮膚がケロイドになるため日中は日傘が無いと外出が出来無い人達。紫外線そのものを浴びられない人達。食物アレルギーのある人達。

今の季節で言えば、マスク無しでは外出出来ない人達

なんでもないシンプルな生活が、したくても出来無い人達の中に、わしもいるんだわなぁ・・・(ちょっと愚痴ってみますた。ホント今年の花粉は殺人的だわよっ!)


それとは意味合いが全然違うんだけど、シンプルと真逆の価値観を持って生きている人達も沢山いる。

デコデコと、まるで鎧を着るように我とわが身を飾り立てる人達。

お店に立ってると、そんな人達を大勢見かける。

アホだなぁと思いながらも、それにはそれなりの理由があるんだよなとは、一応思う。でも同調するのは真っ平だ。

身だしなみを整えるとか、お洒落を楽しむという範疇を遥かに越えた自己欺瞞的な飾り立てなのだ。自分の本質を見たくないとしか、言い様がない。ただただ目立ちたい、自分を良く見せたいという欲望の塊だ。

よく出会うのが「他人の結婚式に出る為に、必要以上に着飾る人達」。

自分の子供のお式なのに、花嫁よりも派手な飾りを付けたがる人の、なんと多い事か。


そんな時、そのお客が帰ると即座に店員たちはつぶやくもんだ。「このヤボテン」と。

普通のパーティではない。結婚式では「花嫁より目立つのはご法度」つまり、昔からそれが暗黙の了解だった筈なのにだ。



浅草は古くて新しい街と言われているけど、結構保守的な人達も多い。粋を大事にする人達もまだまだ多い。

以前オーストラリアにホームスティするという学生君が、唐突に「粋」って英語でどう言ったらいいですかと聞いて来た事があった。

そうだねぇ・・・わしだったら「cool」とでも言うかなぁ。ソフトケイテットとかアーバン・テイストとかかなぁ・・・。とにかくスパッと無駄を省くって事だからねと答えておいた。答えは自分で探せや少年よ。粋の定義は人によって微妙に違う気がするからね。

起き抜けの姿を人様に晒せない身としては、せめて生き様位は粋に生きたいなぁと、切に望む最近のわしだ。


大好きな男に対して、夫の居る身で情を預ける事が出来ようかとかね。デブなのに、やせ我慢しちゃう訳だ。

まぁ、理想。あくまで理想。

つーか、そんな嬉しい事言ってくれる男もいないんだがの。

無駄を省いてシンプルに生きられる。それこそが真のゴージャスだと思う。

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