皮むきむき

2008年2月19日 エッセイ
昔々、師父の実家に行った時、台所で手伝ってたら義母がどこにでもあるピーラーを使いながら「あたしは、こういういいモン使ってるだ」と嬉しそうに見せてくれたことがある。

その時は「なんだ普通のピーラーぢゃないの。わしにどう答えろっつーのだ」と一瞬戸惑ったもんだ。んでとりあえず「うん、便利だよねそれ。ウチにも柄が木で出来てるのがあって、それより握りやすいよ。だけどもう10年も使ってるから木が黒くなっちゃった」と答えた。

そしたらとたんに顔色が変わって不機嫌になっちまったのさ。

今考えたら、それは彼女にとって初めてのピーラーだったのかもだ。

まったくソレ位の事で「あの女は知ったかぶりするだっ」と罵られてもなぁ・・・

今となっちゃ、もうどうでも良い事なんだけど、昨日彼女の病室を見舞った時、キンピラを作る時皮を剥かないという話しをしていて、なんとなく思い出した次第。

確かに皮の直ぐ下に栄養が有るとはいえ、今の野菜は皮の部分に一番残留農薬が残るという話しを聞いてからは、余程気をつけてる減農薬または無農薬の野菜以外は、努めて皮は剥くわしだ。

だけど嬉しそうに孫や息子にキンピラの作り方を伝授している彼女に、わざわざ水差す事もなかろうと黙っていた。

もう、どうでもいいやって感じだ。


それにあれだけ息子や嫁達が心配して「歩かないと筋肉が落ちて、どんどん痛くなるよ」と言った所で「痛ぇだよーーーっ!」と威張って動かなかった彼女が、リハビリでベテラン看護師にガンガン怒られながら歩かされてる姿を見るに付け、なんとなくご機嫌な気分になる自分がいるし。

まっ、わしは彼女に直接アクションを起こす役目じゃないって事だわな。反面教師になってくれるのを感謝してこそすれ、意見なんか言わず、見守ればいいんだわな。

何となく、気持ちが楽になって来たこの頃だ。

コメント

お気に入り日記の更新

この日記について

日記内を検索