サリヴァンの旅

2007年7月4日 映画
DVD ファーストトレーディング 2006/12/14 ¥500
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こんなにも泣きながら、ディズニーのショート・アニメを見たのはこの映画が初めてかもだ。

話はこんな感じ。

裕福な家のおぼっちゃまとして育ち、何不自由なくハリウッドの喜劇監督として成功していたサリバンは、ある時ふと自分はもっと社会性のある映画を撮らねばイカンと思い立つ。

でもそれには自分はあまりに満たされていて、本当の苦労を知らない。それならば本当の苦労を知る為に、浮浪者の格好をして放浪の旅に出れば良いんじゃないか。

そう考えた監督は、周囲の反対を押し切ってボロボロの服を身にまとい放浪の旅に出るのだが、何せ若手の大物監督の事。後からトレーラー・ハウスに乗って監督付きのカメラマンや作家達が追いかけてくる有様。

ここいら辺は、なんとなく日テレで長く放送していた「進ぬ電波少年」のヤラセ貧乏旅行を彷彿とさせていて可笑しい。

そして何となく「貧困と過酷な現実」を知ったかぶりした監督は、無事生還出来た御礼にと、金満家の美談作りの為に(本人にはまったくその意志は無かったのに、周りのスタッフが勝手に話題を作る様が怖い)貧困にあえぐ人達にお金をばら撒きに行く。

そこで暴漢に襲われ、頭を殴られ記憶がボンヤリしている内に何故か殺人の罪を着せられ、強制労働へ。おまけに知らない内に、世間では自分は変死した事になってしまい・・・

ここで初めて貧困の怖ろしさ、辛さを知った監督。

同じ様に辛い立場の黒人達が、犯罪者である自分達の為に娯楽の場を提供してくれる優しさにも触れる。

ゴスベルはどうして生まれたんだろう。

なんでインドや香港で、あんなにとんでもなくオマヌケなコメディが作られたんだろう。


この世の中には、面白い映画を観て笑う事を支えに生きている人達が大勢いる。

歌う事、笑う事でしか、現実の辛さを忘れる事が出来無い人達の方が、はるかに多い。

だからこそ、この世には「オバカで楽しいコメディも必要なんだ」と、辛い旅の果てに、監督はようやく気付くのだわ。

リアリズムがいいとか、おバカなコメディの方がいいとか、そんな事を論じる自体無意味なのだ。

どちらかが良い悪いの問題ではなく、これもあれも必要なのだと、声高ではないけれど、しっかりとした口調で主張している。

なんの変哲も無い、見慣れている筈のディスニーのショート・アニメを観て笑う人達を見ながら、ぴっくりする程泣いた。

観てよかった。

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