あんまり楽観は出来無いのだが、ご機嫌をとっていればヘンテコな言動の少ないかーちゃんなので、姉と二人で徹底的にご機嫌を取る作戦に出て早半年。

とにかく自分が中心に置かれていれば文句は出ないし状態も落ち着いているので、このお彼岸もどうかなと想っていたら風邪気味なので墓参りには行かないと言い出した。

それはいいんだけど、わしとしてもお寺の住職が高齢なので様子を見に行きたいし、途中にある梨園でもぎたての梨買いたいしで、ちょっと考えた。

姉と二人で出かけて、帰ってきたら家ん中がウ○コまみれだったらどうしょう・・・・とかね。

二人してあたしをのけ者にしてーーーっと逆上の末の大暴れ&ほうって置かれたという思い込みから来る症状の悪化は十分考えられるからだ。

勿論今そんな症状が出ている訳じゃないし、将来的に必ず出るという事でもないんだけど、高齢の認知症には、このウ○コ事件はホント多いんだわ。

何でか考えたくも無いんだけど、現実に良く聞く話。なんとなくペットの犬や猫が不本意な留守番させられた腹いせに、トイレ以外の場所で粗相をするのと似ていなくもないなぁと思う。

甘えついた嫌がらせか、また全然別の理由かもだがの。

とに角姉とどうすべな〜と顔を見合わせてたら、本人はいたって呑気に「行っといで」と言う。

それだけ身体がしんどいんだろうから早お昼を食べさせて寝かせ、夕食は焼肉にでもしようか、それならホット・プレート出しといてねと言い残して、とりあえず二人で墓参りに出かけた。

姉のダンナさんと師父は仕事で休めなかったので、久々にゆっくり姉と二人だけで今後の事を話せたのは良かったなぁ。

姉のダンナさんがあと二年で定年だから、そしたら同居したいと思うが、あの家に私達が入っていいかと聞くので、もともとわしの家じゃないし、住みたい人が住めばいいんだから好きにしてといっておいた。

かーちゃんにもしもの事があったとしても、残されるのはビビたる金額の土地と財産。

お金の集まる所には、変なモノも集まってくる。ヘタに執着してると、ロクな事にならないもんね。

更地にして山分けでいいね〜なんて道中話しながら山の中のお寺へ向かう。

我が家の菩提寺は戦国時代から続く山寺で、何故か代々尼さんが住職になる事が多かったらしい。現在の住職も今年84歳になる尼さんで1人で頑張って取り仕切っている。

しっかりしているとは言ってもすでに高齢。昔は内面は優しいんだけど外見には物凄く気性の荒い坊さんだったんだが、最近は親しい友や檀家の人々を送ってばかりで、さすがに見た目もシンミリしている事が多くなった。

墓参りを済ませて暫く話し相手になって来たんだけど、そこでも認知症の話が出て、もうウンザリ。

近所の檀家の婆様の話で、彼女の一人娘が男を変えては家に寄り付かないので、最初の結婚の時に出来た孫娘と一緒にすんでいたんだけど、その子も心身症で入退院を繰り返してた。

でも最近は落ち着いて一緒に住めるようになっては来てたんだけど、仕事の不安やらを尼さんに相談しに来る。

それが気にいらないのか、全く別の理由があるのか誰も知らんのだが、昨年の暮れあたりから婆様のウ○コ騒動が始まったのだという。

孫娘が何処かに出かけて家に帰ると、家中にウ○コが・・・(T_T)

あまりの臭いに耐え切れずお寺に逃げ込むと、婆様の行動は更にエスカレートして、悪循環の繰り返しとなっていたらしい。

それが漸く施設に入れる事が出来てよかったよ〜と尼さんは言ってたけど、やっぱり寂しそうだった。

壊れていく人に向かって、何でそんな事をするんだと問いかける事程愚かで空しい事はない。

壊れかけている人には、言いたい事が山程有る。だけどそれを言葉にする術を、すでに失ってしまっているんだよ。

他人が見てオカシイ変だと思う行動でも、本人には必ず筋の通った意味がある。

それらの思いを上手く汲み取ってやれればいいんだけど、対峙する側の内面に不満分子が多くあればあるほど、介護の上での暴力になったりするんだよねぇ。

ケース・バイ・ケースでとても一言では解決出来無い事なんだけど、デイサービスなどで感じた事は、他人は自分と同じ事をするという事だ。

自分が緊張して硬い態度で接すれば、相手も硬化して問題はさらに拗れる。

ゆるんでフンニャカしていれば、相手も安心して自然にフンニャカしてしまうのだ。

それは作り笑顔や、無理に緩んだと思い込んだ態度ではない。

相手に対する見え透いた嘘は即座にバレてしまうだけに、介護は自分の内面との闘いでもあるんだよね。

まあ、そんなこんなでとりあえず尼さんの元気を確認したわしらは、無事梨を買って家路に急いだ。

もしかして、家ん中ウ○コまみれかもよ〜とか言いながら。

そしたらかーちゃんが、ちゃんと仕舞ってあったホット・プレートを出して玉ねぎなんかを刻んで、油やみりんお皿やらを出して待っているじゃないの。

ちょっと感動。

わしらが何処に行って来たのか、途中で何を買う予定だったのかも覚えていたしね。

食後にホット・プレートをどこに仕舞うのかも指示出来ていた。

記憶障害っていう脳と心の仕組みは、ホント謎だらけだね。

まぁ今回の場合は、単に「肉食いたいっ!」って言う欲が突き動かしただけなのかも知れんのだがの。

最近は脳の障害に水分不足も原因している事が判ってきている。

脱水症状で痴呆になる可能性が有るわけだ。

わしも子宮内膜症が酷かった時、出血多量で結局の所脱水状態だったんだよね。内臓も常に熱持ってたし。

それに加えてアトピーで皮膚がカサカサ。皮膚の表面がカサカサな時、実は内臓も同じ様にカサカサだっていう事に、多くの人は注意を向けないけど、本当にそうなんだよ。

水分の代謝が悪いと、いろんな所に害が及ぶ。怖い怖い。

んで、昔から足が悪くてトイレに行くのが面倒なかーちゃんは、洋式トイレになって20年経つというのに日頃から水分を控えめにしていた。

そんな事も脳の障害の原因かもねと、最近会話の中に盛り込んでしつこく話していたら、何となく自分でも気がついたらしい。

水分を多く取る事に気が行くようになって来た。

そうすると、やっぱり少し違う。

このまま行くのか、明日には突然落ちるのか、まだまだ先は見えないけど、予防して防げるものならなんでもやってみるさ。

病人をその気にさせるのにも、技術がいるよね。これがコミュニケーションの極意ってもんかすら。


ああああ、しんど。

でも。ちょっと安心。

姉もかーちゃんに見えない角度でVサインして帰っていった。

介護はね、連帯が物を言うね。

みんな、1人で抱えてちゃダメだぞ。

ヘンな物が寄って来るぞ。

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