ISBN:4805827211 単行本 長嶋 紀一 中央法規出版 2006/02
¥1,680
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昨日実家に行って母の介護をして来た。

介護とは言ってもドライブしたり買い物したり、カラオケ行ったりといった所謂「普通」の状態に見えるものばかりなんだけど、今までと違うのは、こちらの感情を極力抑えている事。

今までとは違う状態の母に正論を言った所で理解出来るわけも無いし、まだらに普通なので時折「はっ」として自分が物事を理解出来なかった事に対する劣等感を感じさせてもいけないからだ。

だがな。これが本当に難しい。

昨日も約3時間掛けて車で行ったわしに対して「どこかドライブに連れてって」とせがむ。

これはもう毎度の事で、自分がやりたい行きたいと思ったら、他人が疲れているかどうかなんて考えも及ばない。だからこその「認知障害」なのかも知れないが、母には昔からこういった「自分至上主義」の部分が多く、そうでない時とのギャップが大きすぎたので、子供の頃にはよく混乱した。

優しく思いやりのある部分と、冷たくてトゲトゲしい部分とが混在していて、今から考えると生まれ付いての精神疾患だったんじゃなかったのかと思える程だ。

彼女の態度にあまりのバラつきが有るので、それに対して自分を守る為に、わしは幾つもの性格を作らざるを得なかった。

わし自身がかなりの不安定な性格をしていたからだ。

小学生時代の通知表の家庭への通信欄には、担任から必ず「情緒不安定です」とか「気分にムラが有りすぎます」だのと書かれていたのだ。

だからと言って第三者に対して突然キレていい訳が無い。感情のコントロールが他の生まれ付いて精神の安定した人に比べて難しいし、勉強する事が多いというだけの話。

わしはそれを自律訓練法と鍼治療で学んだ。学び方は人それぞれだ。たまたま自分には精神科や心療内科への縁が無く道も開けてなかっただけで、薬物療法に対してトヤカク言うつもりも無い。

ただ言えるのは、悪い状態の自分を治すのは、他人でも薬物でも無いという事だけ。

「せんせぇ〜なおしてぇ〜」と治療者におんぶした所で、その人が自分の人生を生きるのを止めてこちらの人生を歩いてくれる訳が無いと言っているのだよ。

第一そんな事させて嬉しいか? 他人が己の人生を犠牲にしてまで自分に楽させてくれるのを見て満足か?

話をもどそう。

その幾つかの性格というのが何時頃確定したのかは解らないんだけど、最終的に6つになってずっと心の中にいたので、面白いから一つ一つに名前をつけることにした。

まだ何も解らず、されるがままでいつも不機嫌な0歳児赤ん坊ひるこ。いつもウジウジして愚痴ばかり言っている小男のウジイエ。泣いてばかりいる十代の少女ひろこ。圧倒的な迫力で前に出てくる喧嘩っ早い女ダイアン。身長190?以上の大男で、いつも奥深くに1人で座り、じっと様子を伺いながら出てくる時を待っている殺人兵器ジーク。もう1人、いつも悪口や言い訳ばかりして何もしないバカな名無しの女。

・・・確か名前付けたんだけど、忘れちゃった・・・

それを半分面白くも感じていたよ。いつジークが出て来るかハラハラしながらね。


2000年春にいよいよ人間的にダメになって大阪のぼんぼん先生の所に鍼治療に行った時、先生はわしの手首の脈を取りながらこう言ったよ。

「ありゃぁぁ、こりゃ酷い。6本に気がわかれとるで。これなぁ、精神分裂病患者の脈やで。だけどあんた、そないな事になってないなぁ。おっかしいで、これは。一番下でなぁ、この6本をしっかり握って離さんのがおる。これやな本当のあんたは。強いなぁ、いゃあびっくりするわ」

こっちの方がびっくりしましたわ。しっかり6本見抜かれたんだから。

そして鍼を打って、そのバラけた気が集まるにつれて、それらの性格が全部自分自身としっかりくっ付いて消化出来るようになって行った。

もしあのままぼんぼん先生に会わなかったら、今頃は精神病院か刑務所の中だったと思う。それまで寿命があったらの話だけどね。

情緒不安定の方も、「あなたは振動する人です」と書かれた星占いを読んで物凄く納得して、かえって落ち着いてしまった。

私は元々が「揺れる人」なのだ。だからその振動している中での安定度を目指せばいいのだと。

繰り返し言うが、だからと言って突然キレていい訳は無いんだよ。

そんな失礼な事をしたら、キチンと反省して謝らない限り、前には進めない。自分の落ち度を認められずに「私の何が悪いっ」なんて開き直った日にゃ、もう後が無くなるよ。運も尽きてしまうと思うよ。

同じ様に、子供の頃母親に酷い扱いを受けたからといって、同じ様な扱いをして良いわけも無い。

彼女は彼女で自分を半ば捨てたのか、それとも本来のものが出て来たのか、とに角酷い状態になりながらまだ寿命があって生きている。

わしがなすべき事は、一歩も二歩も離れて見守る事だけだ。

どんなに母が甘えて来ても、自分で出来る範囲の事しかもう出来はしないし。


昔から人に指図されるのが嫌いで、此処に来て急速に性格が硬くなって来た母に対して「どうして解ってくれないの?」などと哀願するほどもう幼くも無い。


解って欲しいとは、すなわち自分を認めてもらいたいと思う気持ちが全面に出て来ている証拠。

もはや母に対して自分を解ってもらおうなんて甘い考えは持って無い。


ただあのムラのあるイジワルな性格が昔を思い出させて、時々不愉快になってしまうだけだ。

今はただ、姉と2人で母に対して「あらおねえさん、たいしたもんだわね」とサラリとかわせる余裕の技能を見に付けられるようにする事だけが課題なんだよなぁ。

まぁだ2人してブチブチ切れてしまう未熟者ゆえに・・・(T_T)

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