DVD ビデオメーカー 2002/12/20 ¥9,240
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美しくただただ美しく展開するばかりで、あんまりドロドロの展開がないんだけど、お話自体はいくらでもドロドロに持っていけるだけの内容をはらんでいる。

でも、あえてしない。

日本と台湾を代表する2大美女宮沢りえとジョイ・ウオンに、今の香港を代表する美男俳優呉彦祖を絡ませた麗しくも悲しい愛の物語。

映画的な展開が古めかしくて、甘美でお耽美で、圧倒的に美しい。

いやいや、けっして文句を言っているんではないんだわ。


なんだか30年前の少女漫画の王道を読んでいるような、ビスコンティの作品を観ている様な、そんな懐かしい雰囲気を味わって、しばし至福の時間を過ごしてしまったと、そう言いたい訳なのさ。

宮沢りえはこの作品でモスクワ映画祭の主演女優賞を受賞してるんだけど、それはもう演技を通り越した圧倒的な存在感と美しさに対してだわな。


美人女優はかくあって欲しいと願う映画ファンの願望を、見事に果たしてるよね。

ジョイと2人でいると、まるでレトロ・モダンな香港の化粧品パッケージに書かれた美人姉妹の様。

ジョイも香港のオバサマ方が熱狂する広東歌劇の男装の麗人みたいだ。

そういえば、この展開の仕方も、昔むかしの「紅楼夢」などの映画へのオマージュにも感じられる。

しつこくしつこく、「会いたい」だの「切ない」だのと結ばれない悲しい愛の歌を歌いながらも、最後には「(願いがかなえられずに)過ぎて行ってしまうのならば、それも天命とあきらめる〜」と爽やかに締めくくってしまうこの潔さ。


人が人を求め、心の絆を求め、肉体の繋がりを求めながらも、思い叶わない事もある。仕方がない、それが自分の宿命なのだ。だからこそ、今ある縁を大切に、心に残る愛しい人を忘れずに、前を向いて生きていく。

運命を受け入れて生きていくという主題が、この表現の仕方で何処まで観ている人に伝わるのかは判らない。


人によっては、ただ退屈でツマラナイと感じてしまうかも知れない。

でも解る人は、解って下さい。自分の運命を受け入れて、けっして人生を投げないで下さい。病気や薬物やらに逃げ込まないで下さいと、この監督は伝えたいのかも知れないな。


この作品の中でジョイが演じた、新しい時代の女性の様に生きて欲しいと。


・・・これって主演女優はジョイ・ウォンの様な気もするのだが・・・。


まぁ、いいか。


しかしだ。欲をいうならばだ。

も少し「くれ・ひこそ」のだな、逞しくも麗しいヌード・シーンを増やして欲しかったわい。

あれを目の当たりに見せられたら、ジョイならずとも手にした物落っことしてぼ〜っとなってしまうよね。

そう、あのシーンを見てしみじみ思う。

この映画を撮った楊凡監督って、ゲイだよな、と。


香港が中国に返還されてまだ10年というのに、もう規制の締め付けが始まったそうだ。


これからは同性愛を描いた作品などは作り難くなっていくとか。


形を変えて作り続けるのか、それとも外国資本で作るのか。

どっちにしても、頑張って欲しい監督の1人。呉彦祖を主演に、彼がまだ美しい内に、どうか一つもっと激しい世界を描いて欲しいものですわ。


・・・何となく、話がズレたか?

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