カッとなったら、チョコットおこもり

2005年6月13日エッセイ

自分のペースで動けないとパニックを起こす病気の一つに自閉症がある。

自閉症には様々な症状が有って一言でどうとは言えないんだけど、みんな脳の機能障害が引き起こす症状だから、親の育て方が悪いとかの問題では無い。

生まれつきの脳の状態だからねぇ・・・。

これは先天的だけど、事故や怪我などで脳にダメージを負っても後天的にこんな症状を引き起こしてしまう事もある。高次機能障害だ。

これは軽度の自閉症よりさらに外見からは判り難いので、それまで優しく親切だった人がまるで人が変わったようになる事が解せなくて周りは悩んだりするんだよね。

本人だって苦しいだろう。何でこんな事が引っかかって前に進めないのかとか、怒りで訳が判らなくなったりして社会的に孤立したりしてね。

私も子供の頃からよく癇癪起こしちゃあ「虫封じの宇津救命丸」を飲まされていたよ。イカとかタコ食べて腰抜かした飼い猫のタケと一緒に。

だけど、こうやって怒りの発作を起こすのは病気だから仕方ないでは済まされないし、本人も辛い。

怒りの発作を起こす自閉症の小学生に、イライラが高じて来たらその子専用の「おこもり部屋」に行って落ち着かせるという教育方針を実行している学校が有って、たまたまその様子を紹介している番組を見ていたのだが、その子供はその部屋に行って気持ちを落ち着かせる事で、自分の感情の動きを掴める様になって来たという事だった。

イライラしたらそれが解るようになった。とその子供は嬉しそうに話していた。

自分で自分の感情の動きに気付く事が出来るのは凄い進歩だよ。自閉症でもこうやって自分の感情をコントロールすれば、社会でなんとか自立して生きて行けるという希望も出てくるし。

ただ難を言えば、普通学級で一緒に勉強している他の生徒達だって、それぞれに頭に血が上る事だってあるだろうし、家庭の事情でイライラしている子だって居るだろう。

それぞれに思春期の手前なんだしねぇ。

その番組を見ていて、その自閉症の子供一人を特別扱いするんじゃなくて、その部屋を他の子供も平等に使えるようなおこもり部屋としておけばいいのになぁとね、ふと思ったんだがの。

その方が「ああ、カッとなるのは自分だけじゃないんだ」ってその子の気持が楽になるかもだし、周りの子も「何かあったらあそこに避難すればいい」と思えて気持ちにゆとりが出るのになぁってね。

普通学級に居ながら特別扱いされるのは、本人が一番辛いと思うけどね。それならいっそ、特別学級に居た方が、気持ちも穏やかかもだが・・・。

まだ自分の身の回りの事すら満足に出来無い子供達に、特別な子供と一緒にさせるのは人間形成に良く、教育的にとても有効とかいう大人な方がいらっしゃるが、生まれた時から7年間知的障害の子供と一緒に育って、その子達の面倒を知らずに見ていた私から言わせれば、しゃらくせーーって感じだ。

子供に子供の面倒は見られない。大人が手抜きするんじゃないよ。面倒見ている子供の人格が微妙に歪んで、変な所が成長出来無いまま幼稚な大人になる恐れが有るからね。気をつけな、日教組。

好きでパニックになる人はいないが、人の関心を自分に向けたくてバニックになる事も有るというのを知らない人は多い。

これは明らかに脳の障害ではなく、心の障害だろう。私は間違いなくこれだもの。子供で居られる時期に他のもっと手の掛かる子供の面倒を見てると、ガマンしすぎた反動が、とんでもなく変な年齢の時に出てしまうのさ。

可愛がられた末っ子よりも、しっかり者だった長男長女に認知症の方が多いとは思いませんか　?

パニックの発作は、爆発的な怒りや身体の様々な不調や、人間関係の悪化やらの形で現れる。

落ち着いて自分と向き合えば、それがどんな感情に支配された結果の事柄なのかが理解出来るんだけど、いかんせん感情に振り回されている内はまったく解らないのが実情だ。

解らないままに、変な薬やら間違った治療やらをしていると、今度はその副作用が元になって、他の全然違う病気を引き起こす恐れだって有るんだし。

そんな時は、先ずおこもりして、落ち着こうよね。

落ち着けば、大抵の事は何でも無いって判るからさ。