DVD ワーナー・ホーム・ビデオ 2004/12/03 ¥1,575
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日本で上映・放映されたバージョンしか知らなかったら、これは1500円でも高いと思う筈。私も日本公開より先に香港のVCDを見ていなかったら、リー・リンチェイはおろか金城武まで嫌いになってしまったかも知れないもの。
香港映画ファンの間でも、このバージョンを観て悔しい思いをした人はさぞや多かろう。
香港バージョンの話はこうだ。
小説家の周先生が、編集から大人気シリーズ「冒険王」第94話の脱稿を迫られているのだが、今の彼は奥さんのモニカとの関係がギクシャクしていてまったく気持ちが乗ってこない。最初の契約は一年で100話書くことになって居るのに、期限からもう3ヶ月も過ぎてしまっている。ようやく出だしの所だけは書いて助手にタイプ入力させてみたものの、まったくのスランプ。
男はしっかり仕事しろっと社長に怒られても、その仕事のお蔭で妻の気持ちが離れてしまったのにと大喧嘩。そんな最中に当のモニカから離婚の話し合いがしたいから、指定したレストランに来るようにとの電話が入る。
そのレストランが小説の中では「日本の関東軍による恐怖の人体実験が行われた場所」として書かれている。
離婚弁護士は日本軍の大将に、妻の男友達は卑劣な殺し屋にとどんどん書き進められていくが、そのレストランで飲み潰れてしまった周先生を介抱しながら、2人の関係を心配した編集部のセンとイヴォンヌが勝手に日本女性とのロマンスが芽生える話を書き足してしまう。
パーティ会場で出逢った加美子と冒険王は恋に落ちる・・・、そこまで書いて眠りこけてしまった2人を尻目に、目が覚めた先生が明らかにモニカがモデルの加美子を毒婦に変えてしまう。
パソかワープロかこの頃はどちらとも言えないんだけど、先生は手書きと口述で、センがもっぱらタイブ打ちをしているのが笑える。この先生は小説の中では無敵の冒険王だけど、実は運転もタイプも出来無いのだ。みんな助手まかせ。
段々と乗ってきた先生が勢い良く助手に口述させていると、センからこれってロマンチックじゃありませんよと文句が出た。
それを聞いた周先生は大激怒。「女と暮して俺は何を得た?自尊心を失い、恥をかき、人を信じられなくなったんだぞっ」と怒鳴った所で、仕事場にモニカがやって来る。
「あなたって実生活ではネズミみたいなのに、小説の中ではまるで虎よね。それでも本当に男って言えるのっ」で、2人の仲は決定的になってしまった。
でも帰る途中エレベーターの落下事故で大怪我を負った彼女を病院に運ぼうとして、慌てた先生が運転出来無い事も忘れて車を発進させた為駐車場で大事故を起こしてしまう。そして2人仲良く入院するはめに。
自身も大怪我を負いながらも妻を気遣う先生の姿を見たセンとイヴォンヌが、手書きで小説の先を書き進めていく。
それが、駅で冒険王が加美子を毒ガスから救う話となる訳だ。
気絶している妻には自分も入院している事を知らせないで欲しいと頼む周先生を怪訝に思う担当医。センは「だってロマンチックでしょ」と笑うのだった。そう、このセンこそがロマンスの真っ最中だったのだ。まだ本人は気がついていないけど。
病室にワーブロを持ち込む際に、イヴォンヌが先生の手を握り締めて寝ているのを見たセンは、心乱されて外に飛び出してしまう。その姿に気付いた先生が慌てて彼女を起こし追いかけさせる。
彼が焼きもちを焼いていると知って内心喜ぶイヴォンヌだが、そこから新しい登場人物の女の子と助手の恋物語が小説の中で始まって行くのだ。
入院により、執筆活動はノリに乗って順調に進んでいく。
元気の出て来たモニカは一体誰が自分を助けてくれたのかと医師に尋ねる。口止めされているにも関らず全てを話してしまう担当医。
車椅子を自分で押して、彼女は別病棟の夫を訪ねて行くと、周先生はペンを咥えたまま眠っていた。
・・・、この映画、書いてる途中で都合よく寝ているのさ、みんないつも。
それまでの内容を読んで「こんな女性にしちゃって・・・」とため息をつくモニカだが、大怪我を負ったにも関らず自分を気遣ってくれた夫の気持ちを思い、話を変えてしまう。
それが飛行機の中のシーン。それからみんなが加わって、小説はクライマックスを迎える。
そして最後は壁に日本バージョンには無い現代の香港とモニカのシーンが映し出され、全ては変わっていくものなのだ、という言葉で終わる。
結局雨降って地固まるの通り、この騒動があって夫婦は離婚の危機を乗り越えるのだが、最後の2人のセリフが、この壁のシーンの答えとなって見ている側に程よい余韻を残してくれるのだ。
車椅子に乗ったモニカが「この世の中で何が一番の冒険かって言ったら、一人の人間が別のもう一人と永遠に変らないで一緒に居られるかって事よね」と言うと、松葉杖の周先生が「その意味から言ったら、冒険王は必要だよねっ」
ホンワカしたとても良いラストで、全体的にセリフも演技も抑えられていて、大人の夫婦の物語としての出来はいいと思う。私の好きな映画の一つだ。
現実の物語が物凄く押さえ気味の演技なので、小説として書かれている劇中劇の中の演技はまるで漫画のようにハチャメチャになっている。
現実には事故で大怪我を負っていても、物語の主人公達はまったくの不死身だし。
それが観ている方に「あ〜あ、あんな風に書いちゃって」と笑わせてくれるのだが・・・
日本に来たのは、この劇中劇のみを切り張りした台湾のバージョンだと聞いた。
だけどこれが「国際版」ってどうよ。出来悪すぎないか?
国際版には香港版に無いシーンもある。お風呂のシーンなんかがそうだ。
さぞかし金城武もビックリした事だろう。
これだけを見せられたら、確かに駄作と思うよなぁ・・・。
なんでこんな変な作り変えをしたんだろうか。出品人の向華強は香港でも有名な黒社会の大親分の息子だと、以前友達が教えてくれた。5年前にその友達の親の墓参りにくっ付いて行った時、沙田にあるその大親分のお墓を教えてもらったのだが、確かにでかかった。
あの土地の高い香港で、みんなが小さくて四角いタイルの大きさのお墓を買うのがやっとこの土地で、まるで東京の染井墓地にある徳川家の墓並みにでかかった。
その勢力の強さに、心底恐怖を感じたよ。
なんだろう、そんなのも関係してるのかな、とかね。なんか考えてしまう。台湾勢力との絡みかな、とかね。
だから、今自分の見ている映画がどこまでの物なのか、本当は判らないのだ。
色々なシガラミが絡んで、ヘンテコな作品が出来てしまう事だってある。
どんなにツマラナイ作品でも、映画会社に頼まれれば面白いと宣伝しなければならない人だっているし。
その意味から言うとおすぎさんは随分と評判を落としてしまったかもだ。映画好きの友達の中には「もうあの、おすぎですっ、ていうのには騙されないぞっ」と宣言してるのもいる位だしね。
そういえば、最近聞かないかな・・・。仕事とはいえ、何か気の毒。
そんなこんなで、言いたい放題の、シロウト万歳っ!!!っだよねぇ。
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日本で上映・放映されたバージョンしか知らなかったら、これは1500円でも高いと思う筈。私も日本公開より先に香港のVCDを見ていなかったら、リー・リンチェイはおろか金城武まで嫌いになってしまったかも知れないもの。
香港映画ファンの間でも、このバージョンを観て悔しい思いをした人はさぞや多かろう。
香港バージョンの話はこうだ。
小説家の周先生が、編集から大人気シリーズ「冒険王」第94話の脱稿を迫られているのだが、今の彼は奥さんのモニカとの関係がギクシャクしていてまったく気持ちが乗ってこない。最初の契約は一年で100話書くことになって居るのに、期限からもう3ヶ月も過ぎてしまっている。ようやく出だしの所だけは書いて助手にタイプ入力させてみたものの、まったくのスランプ。
男はしっかり仕事しろっと社長に怒られても、その仕事のお蔭で妻の気持ちが離れてしまったのにと大喧嘩。そんな最中に当のモニカから離婚の話し合いがしたいから、指定したレストランに来るようにとの電話が入る。
そのレストランが小説の中では「日本の関東軍による恐怖の人体実験が行われた場所」として書かれている。
離婚弁護士は日本軍の大将に、妻の男友達は卑劣な殺し屋にとどんどん書き進められていくが、そのレストランで飲み潰れてしまった周先生を介抱しながら、2人の関係を心配した編集部のセンとイヴォンヌが勝手に日本女性とのロマンスが芽生える話を書き足してしまう。
パーティ会場で出逢った加美子と冒険王は恋に落ちる・・・、そこまで書いて眠りこけてしまった2人を尻目に、目が覚めた先生が明らかにモニカがモデルの加美子を毒婦に変えてしまう。
パソかワープロかこの頃はどちらとも言えないんだけど、先生は手書きと口述で、センがもっぱらタイブ打ちをしているのが笑える。この先生は小説の中では無敵の冒険王だけど、実は運転もタイプも出来無いのだ。みんな助手まかせ。
段々と乗ってきた先生が勢い良く助手に口述させていると、センからこれってロマンチックじゃありませんよと文句が出た。
それを聞いた周先生は大激怒。「女と暮して俺は何を得た?自尊心を失い、恥をかき、人を信じられなくなったんだぞっ」と怒鳴った所で、仕事場にモニカがやって来る。
「あなたって実生活ではネズミみたいなのに、小説の中ではまるで虎よね。それでも本当に男って言えるのっ」で、2人の仲は決定的になってしまった。
でも帰る途中エレベーターの落下事故で大怪我を負った彼女を病院に運ぼうとして、慌てた先生が運転出来無い事も忘れて車を発進させた為駐車場で大事故を起こしてしまう。そして2人仲良く入院するはめに。
自身も大怪我を負いながらも妻を気遣う先生の姿を見たセンとイヴォンヌが、手書きで小説の先を書き進めていく。
それが、駅で冒険王が加美子を毒ガスから救う話となる訳だ。
気絶している妻には自分も入院している事を知らせないで欲しいと頼む周先生を怪訝に思う担当医。センは「だってロマンチックでしょ」と笑うのだった。そう、このセンこそがロマンスの真っ最中だったのだ。まだ本人は気がついていないけど。
病室にワーブロを持ち込む際に、イヴォンヌが先生の手を握り締めて寝ているのを見たセンは、心乱されて外に飛び出してしまう。その姿に気付いた先生が慌てて彼女を起こし追いかけさせる。
彼が焼きもちを焼いていると知って内心喜ぶイヴォンヌだが、そこから新しい登場人物の女の子と助手の恋物語が小説の中で始まって行くのだ。
入院により、執筆活動はノリに乗って順調に進んでいく。
元気の出て来たモニカは一体誰が自分を助けてくれたのかと医師に尋ねる。口止めされているにも関らず全てを話してしまう担当医。
車椅子を自分で押して、彼女は別病棟の夫を訪ねて行くと、周先生はペンを咥えたまま眠っていた。
・・・、この映画、書いてる途中で都合よく寝ているのさ、みんないつも。
それまでの内容を読んで「こんな女性にしちゃって・・・」とため息をつくモニカだが、大怪我を負ったにも関らず自分を気遣ってくれた夫の気持ちを思い、話を変えてしまう。
それが飛行機の中のシーン。それからみんなが加わって、小説はクライマックスを迎える。
そして最後は壁に日本バージョンには無い現代の香港とモニカのシーンが映し出され、全ては変わっていくものなのだ、という言葉で終わる。
結局雨降って地固まるの通り、この騒動があって夫婦は離婚の危機を乗り越えるのだが、最後の2人のセリフが、この壁のシーンの答えとなって見ている側に程よい余韻を残してくれるのだ。
車椅子に乗ったモニカが「この世の中で何が一番の冒険かって言ったら、一人の人間が別のもう一人と永遠に変らないで一緒に居られるかって事よね」と言うと、松葉杖の周先生が「その意味から言ったら、冒険王は必要だよねっ」
ホンワカしたとても良いラストで、全体的にセリフも演技も抑えられていて、大人の夫婦の物語としての出来はいいと思う。私の好きな映画の一つだ。
現実の物語が物凄く押さえ気味の演技なので、小説として書かれている劇中劇の中の演技はまるで漫画のようにハチャメチャになっている。
現実には事故で大怪我を負っていても、物語の主人公達はまったくの不死身だし。
それが観ている方に「あ〜あ、あんな風に書いちゃって」と笑わせてくれるのだが・・・
日本に来たのは、この劇中劇のみを切り張りした台湾のバージョンだと聞いた。
だけどこれが「国際版」ってどうよ。出来悪すぎないか?
国際版には香港版に無いシーンもある。お風呂のシーンなんかがそうだ。
さぞかし金城武もビックリした事だろう。
これだけを見せられたら、確かに駄作と思うよなぁ・・・。
なんでこんな変な作り変えをしたんだろうか。出品人の向華強は香港でも有名な黒社会の大親分の息子だと、以前友達が教えてくれた。5年前にその友達の親の墓参りにくっ付いて行った時、沙田にあるその大親分のお墓を教えてもらったのだが、確かにでかかった。
あの土地の高い香港で、みんなが小さくて四角いタイルの大きさのお墓を買うのがやっとこの土地で、まるで東京の染井墓地にある徳川家の墓並みにでかかった。
その勢力の強さに、心底恐怖を感じたよ。
なんだろう、そんなのも関係してるのかな、とかね。なんか考えてしまう。台湾勢力との絡みかな、とかね。
だから、今自分の見ている映画がどこまでの物なのか、本当は判らないのだ。
色々なシガラミが絡んで、ヘンテコな作品が出来てしまう事だってある。
どんなにツマラナイ作品でも、映画会社に頼まれれば面白いと宣伝しなければならない人だっているし。
その意味から言うとおすぎさんは随分と評判を落としてしまったかもだ。映画好きの友達の中には「もうあの、おすぎですっ、ていうのには騙されないぞっ」と宣言してるのもいる位だしね。
そういえば、最近聞かないかな・・・。仕事とはいえ、何か気の毒。
そんなこんなで、言いたい放題の、シロウト万歳っ!!!っだよねぇ。
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