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2004年7月14日 不思議な話
意識不明になって丸一日半経った頃、義妹は帰ってきた。
その日は面白い日で、家族9人がそれぞれの時間で病院を出入りする時、示し合わせた訳でも無いのに駐車場で鉢合わせになったり玄関先でパッタリ会ったりと、何となくタイミングの良い日だった。
義妹が目を開けた時にも、洗濯をしに家に帰った義母を除く8人全員が病室に詰めていたのだが、前夜付き添った義妹の夫が一旦寝に帰ると言ってドアを開けた、正にその時パッチリと目を開けたのだった。
娘達が「あっ、お母さんが目を開けたっ!!!」と騒いでいるのに、ドアから半身を出して振り返り、義弟に「じゃあ、よろしく」と挨拶している彼の耳には届かなかったらしい。
5歩と離れて居ない場所なのにね。
彼は普段から「人の話を聞かない人」として有名だから、自分が誰かに話し掛けている時には、他人の声は耳に入らないらしい。
義妹が目を開けたのもうれしかったが、義妹の夫のタイミングの悪い様も可笑しくて、皆で大笑いしてしまった。
娘達に到っては「お父さんは、いつもズレてる」と泣きながら笑っている。
自分中心に生きてると、こういう大事な時にタイミングがズレてしまう。
そうやって、結局運を無くしていくのだ。
人の話は、一応聞いて損はないよね。
まだ暫くは心配してろと、誰も彼に義妹が目を開けた事をメールで知らせもしなかったのは、言うまでも無い。
前日の医師の話では、早い段階で手術をして頭に穴を開けて髄液を出さないと、このまま意識は戻らないとの事だったが、あの時慌てて承諾していたらどうなっていただろうか。
目を開ける約4時間前に、義妹はものすごく茶色い液体を吐いたのだという。
それからは随分と落ち着いて眠りに就いたと言う。私が病室に入った頃には、前日の「匿名の死に掛けの人」ではなく、ちゃんと義妹の顔に戻っていた。
術師が以前、脳の80%を破壊された人に施術した時に、とに角鼻水が止まらなくて大変だったという話をしていた事がある。
脳の回復と、鼻水は関係あるんだろうか。
義妹が吐いたものは、本当に胃液だったんだろうか。
シロウトには解らないや。なんでもいいよ、目が開けば。
それからは感覚も如々に戻って来たらしい。でも少し時間差があるねなどと言って居る時、家の用事を済ませた義母がやって来て、娘が自分を見て笑った様子に思わず泣き崩れてしまった。
皆のお蔭だと声を上げて泣いている母親に向かって、初めてハッキリと「なに泣いてるの」と言ってから、急速に回復して来たのには本当に驚いた。
人間には、元々持っている自然治癒力がある。
侮ってはいけない。
その後様子を見に来た医師も首を傾げる程、あの状態での回復は難しかったんだろうか。
本当に、頭に穴を開けなければ出ない髄液だったんだろうか。
判らない。それにまだ予断を赦せる段階でもない。
でも、とに角、一度は戻って来られた。
先ずは一安心。
その日は面白い日で、家族9人がそれぞれの時間で病院を出入りする時、示し合わせた訳でも無いのに駐車場で鉢合わせになったり玄関先でパッタリ会ったりと、何となくタイミングの良い日だった。
義妹が目を開けた時にも、洗濯をしに家に帰った義母を除く8人全員が病室に詰めていたのだが、前夜付き添った義妹の夫が一旦寝に帰ると言ってドアを開けた、正にその時パッチリと目を開けたのだった。
娘達が「あっ、お母さんが目を開けたっ!!!」と騒いでいるのに、ドアから半身を出して振り返り、義弟に「じゃあ、よろしく」と挨拶している彼の耳には届かなかったらしい。
5歩と離れて居ない場所なのにね。
彼は普段から「人の話を聞かない人」として有名だから、自分が誰かに話し掛けている時には、他人の声は耳に入らないらしい。
義妹が目を開けたのもうれしかったが、義妹の夫のタイミングの悪い様も可笑しくて、皆で大笑いしてしまった。
娘達に到っては「お父さんは、いつもズレてる」と泣きながら笑っている。
自分中心に生きてると、こういう大事な時にタイミングがズレてしまう。
そうやって、結局運を無くしていくのだ。
人の話は、一応聞いて損はないよね。
まだ暫くは心配してろと、誰も彼に義妹が目を開けた事をメールで知らせもしなかったのは、言うまでも無い。
前日の医師の話では、早い段階で手術をして頭に穴を開けて髄液を出さないと、このまま意識は戻らないとの事だったが、あの時慌てて承諾していたらどうなっていただろうか。
目を開ける約4時間前に、義妹はものすごく茶色い液体を吐いたのだという。
それからは随分と落ち着いて眠りに就いたと言う。私が病室に入った頃には、前日の「匿名の死に掛けの人」ではなく、ちゃんと義妹の顔に戻っていた。
術師が以前、脳の80%を破壊された人に施術した時に、とに角鼻水が止まらなくて大変だったという話をしていた事がある。
脳の回復と、鼻水は関係あるんだろうか。
義妹が吐いたものは、本当に胃液だったんだろうか。
シロウトには解らないや。なんでもいいよ、目が開けば。
それからは感覚も如々に戻って来たらしい。でも少し時間差があるねなどと言って居る時、家の用事を済ませた義母がやって来て、娘が自分を見て笑った様子に思わず泣き崩れてしまった。
皆のお蔭だと声を上げて泣いている母親に向かって、初めてハッキリと「なに泣いてるの」と言ってから、急速に回復して来たのには本当に驚いた。
人間には、元々持っている自然治癒力がある。
侮ってはいけない。
その後様子を見に来た医師も首を傾げる程、あの状態での回復は難しかったんだろうか。
本当に、頭に穴を開けなければ出ない髄液だったんだろうか。
判らない。それにまだ予断を赦せる段階でもない。
でも、とに角、一度は戻って来られた。
先ずは一安心。
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