朝っぱら、冷蔵庫を開けたとたんに、上段に入れておいたワイングラスが転げ出て、床に落ちた。

なんで・・・、と思ったけど、まぁ割れなかったのでそのまま洗って元の位置に。

このグラスをくれた人の父親が、今まさに死の淵を彷徨っている。一瞬嫌な予感が・・

と思っていたら


エノクから電話があった。

今、正に家を出ようとしていたその時に。

本当に間の悪い奴。というか、今の彼女の精神状態がそんなマヌケな間の取り方を呼ぶのだが、まぁ仕方ない。私にとってものんびり彼女の話を聞く時期ではないのだろうから、向こうもこんな間の悪い電話の掛け方をしてしまうんだろう。

今年の始めに今までのどん底運勢がひっくり返って、あれよあれよと言う間に家とお金に不自由のない生活が戻ってきたなぁと思う間もなく、夫婦で精神科に入院。

入院中にうつ病ではないと診断されたとかで、別の科を紹介されて調子が良くなったとばかり思っていたら、この電話。

朝からどんより曇った声で「あたし・・・、何かつまんなくなっちゃって・・・」

悪いなエノク。今ホント忙しいのさ。また今度な。

話を引き伸ばしたい感じの声を耳に残しながらも、無情に電話の受話器を置く。

薄情だが、自分の出来うる範囲でしか対応しない事にしたのさ。わしは。

昔だったら、そうかそうかと聞いたけど、ちがうのそれは。

今の私は、溺れそうな人を助けるほどの力も余裕も無いのさ。

すまんのぅ。

ところで、今日はみんながどこかヨレる日なのかも知れない。

久しぶりに義母の「あたしあたし」が出たのだ。

歳三兄さんに言わせると「てめぇ語り」というやつだ。

人の話なんて聞いちゃいないで、頓珍漢な相槌を打ちながら、次第に自分の話に引っ張って行こうとするその根性。

その話がトホホなんだよなぁ。全く詰まんなくて。

娘や孫の世話に明け暮れて、自分のペースが崩れてしまっているのが血圧にも出ていて、とても不安なのは解る。

でもな、元々他人のペース崩して自分勝手な人生歩んでいたのは、あなたでしょうが。

あんな風に、手前勝手に威張ったり子供を威圧したりしてたから、人生の最後に来て、かつての自分とそっくりな孫に振り回されてるんでしょ。

術師が義妹に施術している間、くどくどと愚痴を言っていたが、それはかつてのあなたに対する私達のセリフに良く似てる。

こんな風に、回るんだよね。

暴君が何時までも暴君ではいられない。

必ずその落とし前をつけなくては成らない日が来るのさ。

つい6年前まで、あんなに私の事を敵対視して、無い事無い事悪口いって排除していた二人が、今ではまるでおとなしい羊みたいに仲良くしたがっている。

変だよ。それ。

それって、チョット、見方が甘くない ?

というか、私の心は完全に離れてるし。

愚痴言われても、まったく親身にはなれないし。

むしろ良い気味だと思うし。

・・・ってね、こういう時に、魔が差して来るんだよなぁ。

こうやって、心の中に、人の不幸を喜ぶ芽が顔を出す時に。

気をつけねばね。

心を落ち着かせる意味も有って、夏至の日に出来なかったキャンドル・ナイトなパスタイムに、遅ればせながらも興じているわしなのだった。

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