DVD ポニーキャニオン 2004/02/18 ¥3,990
自分の愛する人に、自分が相手を思う気持ちと同じ温度で愛される確率はどれ程だろう。
思えば思うほど相手に疎まれ、嫌われ、その魂や精神、存在そのものも粗末に扱われて、絶望の淵に佇む人は今この時にも世界中に溢れている。
武侠小説の大家「金庸」の原作をこれほどの解釈で映画化したウォン・カーワイも大した者だが、当時それを支持した少数派の香港ファンも大したものだった。
公開時、上映中に「デュッ」(FUCK)と一声叫んで席を立つ人続出という話題で盛り上がったりしたが、まぁ、昔ながらのチャンチャンバラバラを期待していた観客に、この内容は理解不能だったと思う。
私と同世代の亜強や亜楊ら男共は一様に「何言ってるんだか全然わかんない」と言って散々コケにしていたが、10歳年下の女性亜賢は「面白いし深い」と言って関心していた。私も彼女の意見に賛成する。
勿論金庸の作品は元々人間ドラマのしっかりした内容なんだけど、捉え方が違うというか、今までの香港映画ではなかなか描けなかった「心の弱さ」を全面に押し出せたというだけでも、ウォン・カーワイは凄いと思う。
人は苦悩する為に生まれてくるのかと思ってしまう程、この作品の登場人物達は、それぞれ自分なりの苦悩を抱えて生きている。
自分本来の素直な姿を受け入れられず、拒絶され、疎まれ、嫌われて、それでも人は人を愛し、そして愛されたいと切望している。
チャンバラの世界を借りても、この監督の言いたい事はいつも一つだ。
愛する人に抱きしめてもらいたい。
愛する人を抱きしめたい。
ただ、それだけ。
この映画には、それが特に強く出ている。愛する男の帰りを待つ女が、馬にまたがってその馬の首に抱きついているという極めて性的な表現方法や、同じく静かに横になっている男の背後からその体を這うようにして映される、女の白い指先の動き。
全体が鬱屈した性描写で溢れている感じで、とてもセクシー。こりゃ、派手なチャンバラを期待して来た人にはとてもかなわないよなぁ。(笑) もうカンベンって感じだろうなぁ。
これを見ていると、まるで萩尾望都や竹宮恵子などの、少女マンガの全盛期を築いた人達の作品を実写版で見ているような錯覚を覚える。
香港は狭いので、普段はビーサン穿いて子連れでスーパーに買い物に行くような姿を見かける俳優達が、ひとたび銀幕に上がるとかくも美しくりりしくなってしまうあたりに、香港台湾の役者達のオーラの強さを感じたりもしたものだ。
みんなが若くて、輝いていた。
まさにその絶頂期に撮られたこの作品の主役スターは、丁度一年前の明日、ホンコンマンダリンホテルから身を投げて、本当の星になってしまった。
自分の愛する人に、自分が相手を思う気持ちと同じ温度で愛される確率はどれ程だろう。
思えば思うほど相手に疎まれ、嫌われ、その魂や精神、存在そのものも粗末に扱われて、絶望の淵に佇む人は今この時にも世界中に溢れている。
武侠小説の大家「金庸」の原作をこれほどの解釈で映画化したウォン・カーワイも大した者だが、当時それを支持した少数派の香港ファンも大したものだった。
公開時、上映中に「デュッ」(FUCK)と一声叫んで席を立つ人続出という話題で盛り上がったりしたが、まぁ、昔ながらのチャンチャンバラバラを期待していた観客に、この内容は理解不能だったと思う。
私と同世代の亜強や亜楊ら男共は一様に「何言ってるんだか全然わかんない」と言って散々コケにしていたが、10歳年下の女性亜賢は「面白いし深い」と言って関心していた。私も彼女の意見に賛成する。
勿論金庸の作品は元々人間ドラマのしっかりした内容なんだけど、捉え方が違うというか、今までの香港映画ではなかなか描けなかった「心の弱さ」を全面に押し出せたというだけでも、ウォン・カーワイは凄いと思う。
人は苦悩する為に生まれてくるのかと思ってしまう程、この作品の登場人物達は、それぞれ自分なりの苦悩を抱えて生きている。
自分本来の素直な姿を受け入れられず、拒絶され、疎まれ、嫌われて、それでも人は人を愛し、そして愛されたいと切望している。
チャンバラの世界を借りても、この監督の言いたい事はいつも一つだ。
愛する人に抱きしめてもらいたい。
愛する人を抱きしめたい。
ただ、それだけ。
この映画には、それが特に強く出ている。愛する男の帰りを待つ女が、馬にまたがってその馬の首に抱きついているという極めて性的な表現方法や、同じく静かに横になっている男の背後からその体を這うようにして映される、女の白い指先の動き。
全体が鬱屈した性描写で溢れている感じで、とてもセクシー。こりゃ、派手なチャンバラを期待して来た人にはとてもかなわないよなぁ。(笑) もうカンベンって感じだろうなぁ。
これを見ていると、まるで萩尾望都や竹宮恵子などの、少女マンガの全盛期を築いた人達の作品を実写版で見ているような錯覚を覚える。
香港は狭いので、普段はビーサン穿いて子連れでスーパーに買い物に行くような姿を見かける俳優達が、ひとたび銀幕に上がるとかくも美しくりりしくなってしまうあたりに、香港台湾の役者達のオーラの強さを感じたりもしたものだ。
みんなが若くて、輝いていた。
まさにその絶頂期に撮られたこの作品の主役スターは、丁度一年前の明日、ホンコンマンダリンホテルから身を投げて、本当の星になってしまった。
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