短い期間で終わってしまう恋なんて、自分の欲しい物の切れ端を探しているようなモノだと、年老いた芸者は言った。

堅気の女はいいねぇ、とも。


親の決めた男をあてがわれて、その子を産んで、老いたらその子に面倒を見てもらえて、堅気の女はいいねぇと。

若い男に、自分の果たせなかった夢を頼もうとして、その魂胆を見透かされて、逃げ出されて。

だけど、その男がいつか自分の所に帰ってくるのを、日当たりのいい縁側で、和歌なんか詠いながら待ってるんだねぇ。


老いてますます、いのち華やぐ


老妓の、あまりのうっとうしさに旅に出た男が、この歌を聞いたら、多分、怖ろしさのあまり卒倒するかもね、姐さん。

コメント

お気に入り日記の更新

この日記について

日記内を検索