誰かに向かって
しきりに謝っている人がいた
色彩の殆どない
寂しい部屋の中で。
何本もの管に繋がれて
すでに自力で歩く事も出来ず
布団から出した右手は
虚しく空を舞う。
彼女が誰に謝っているのか
誰も知らない。
どんな道を旅してきたのかも。
判っているのは、粗末な服と
僅かなお金。
使い込んだ古いバッグに入っていた
唯一つの所持品のみ。
深い皺の奥には、同じぐらいに
深くて、沢山の苦悩が刻み込まれている。
かつては、楽しい事も沢山知っていただろう
その手が
その目が
その肉体が
彼女の全てが
唯一つの許しを
願っている。
待っている。
自分の事をまるで知らない人達に囲まれながら。
でも、それは叶わぬ願い。
それこそが
罪。
彼女が大切に持ち続けた唯一つの所持品。
窓の外に、また桜の花がやって来る
彼女の生まれる前から
何変わる事なく、巡ってきた満開の花たち。
この部屋の住人が他の誰かに代わっても
それが変わる事はない。
しきりに謝っている人がいた
色彩の殆どない
寂しい部屋の中で。
何本もの管に繋がれて
すでに自力で歩く事も出来ず
布団から出した右手は
虚しく空を舞う。
彼女が誰に謝っているのか
誰も知らない。
どんな道を旅してきたのかも。
判っているのは、粗末な服と
僅かなお金。
使い込んだ古いバッグに入っていた
唯一つの所持品のみ。
深い皺の奥には、同じぐらいに
深くて、沢山の苦悩が刻み込まれている。
かつては、楽しい事も沢山知っていただろう
その手が
その目が
その肉体が
彼女の全てが
唯一つの許しを
願っている。
待っている。
自分の事をまるで知らない人達に囲まれながら。
でも、それは叶わぬ願い。
それこそが
罪。
彼女が大切に持ち続けた唯一つの所持品。
窓の外に、また桜の花がやって来る
彼女の生まれる前から
何変わる事なく、巡ってきた満開の花たち。
この部屋の住人が他の誰かに代わっても
それが変わる事はない。
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