「あっちに幸せがあって、こっちにも幸せを求めるような、そんな欲張りな女は嫌いだ。」

2人で私の実家に行った時の、帰りの車中でのヒロのセリフ。


自分から「実家に帰るの?何しに行くの?」と聞いてきて、「草むしりかぁ。俺もいっちゃおっかな〜」と言って付いてきたくせに。


私はただ「実家の庭が草ボーボーなので母から草むしり指令が出たから行ってくるんだけど、ミミズがいたら帰りがけに寄って、何匹かヒロんちの庭に放しといてやろうか?」と聞いただけだ。


アパートの小さな庭に、可憐な草花を育ててる男。


私が「この位の大きさなら、菜っ葉も大根も作れる」と言ったら、真面目な顔して「俺は花を作りたくて、此処借りたの」と、少し怒ったような顔をした。

白いかすみ草とクチナシの花が好きな男。


雑草取った後植えるようにと、自前の種を何種類も持って来た。


私のリクエストで、食べられる物も何種類か蒔いたけど、収穫出来たのは枝豆だけだったっけ。


夏休みに師父と一緒に来て、「俺が植えたんだよね〜」と、嬉しそうにそれを食べていた。

何の種だか判んないけど、とにかく蒔いちゃえ、と蒔いた種が一年後に芽を出して、今やすっかり根付いてる。

赤い花の咲く木だ。

あれだけは枯れないで、しっかり育っている。

母が「ナントカナントカ」と言ったのだが、私にはサッパリ判らない。今まであまり花に興味が無かったので、花の咲く木なんて名前さえうろ覚えだ。


蒔いた年に芽を出さないで、忘れた頃に出てきた花の咲く木。


最初はただの一年で枯れる花だと思ってほうつておいたら、知らない内に木になっていた。


母が冬になって枯れたと思い刈り取ってしまったのだが、根を残しておいたら春に新芽を出して、やがて木になっていった。

春天花会開

春になれば花が咲く。

花を咲かせる事が出来る。

たとえ折れてしまっても、枯れてしまっても、根が強ければ必ず新芽を出す事が出来るさ。


草むしりから半年たって、ヒロの方から「仕事で疲れて少し落ちてるでしょ? 一緒に飲んであげるから出ておいでよ」と誘われた。

2人で暫く飲んで、良い感じに酔いが回って来た頃、うつむいて、ハニカミながら、モジモジしながら、ようやく言ったのだ。


「あのさぁ、前に言ったでしょ。あっちにも幸せがあるのに、こっちにも幸せを求めるようなのは嫌いだって・・・、でもさ、それって人間的で・・いいよね・・・」
「だから、あなたがそれでいいんだったら、俺もそれでいいよ」

もうあの時間には戻れない。でもね、本当に、本当に、うれしかったの。

あの頃の私は精神状態が今よりもっと不安定だったから、上手く言えなかったけど、物凄く幸せな瞬間だったよ。

ありがとう、本当にありがとう。

私の心の欠けた部分を埋められるのは、やっぱりヒロしかいないよ・・・

****** ひとりごと *******
男性の意見が聞きたくて、何人かの人の日記をリンクさせてもらっているんだけど、此処に来て閉鎖する方が続出。(;_:)
みなさん、のんびりと、ゆるく、続けていただきたいですぅぅぅ。

毎日なんて書く必要ないし、心の吐露は、会話でもなかなか出せないし。
残念だなぁ・・・


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