母の弟の嫁さんの兄貴はゲイだ。


私なんかが生まれるずっと前から、彼がゲイだという事はみんなが知っていて、彼も隠したりしなかった。


この兄弟の父親は、晴れた日でも着流しに番傘をさして、橋の上から川面を眺めていた風流な人で、二人の息子の片方がゲイでも、もう片方の嫁さんが金髪でも、一向に動じない人だったとか。

親類筋ではあるのだろうが、ほとんど関係ない遠い人。



だけど、なぜか一度だけ彼の家に遊びに行った事がある。もう30年近く前の話。



その頃彼は恋人と二人で居酒屋を経営していた。たしか東京の大塚あたりで。

その恋人が偉く男前なので見に行こうという事になったらしいのだが、詳しい事はすっかり忘れてしまった。


私達は彼の妹である義理の叔母と娘と、彼女とセットになっていた母の妹である叔母と娘と、もう1人の叔母と娘と母と私の姉との計9人の女の団体で、彼の家に行った。

なんなんだ、いったい・・・。


これは「イジメ」だったんだろうか・・・・



叔母と義理の叔母がセットだった話はまたあとで書くとして、今考えると恐ろしく迷惑な話だと思うが、彼らがよく招いてくれたとも思う。

小父さんは、オスギとピーコのオスギの方に似ているのだが、恋人のA君は、本当にびっくりする位の男前で、当時思春期真っ盛りの私と姉は「オヤジのくせに好い男を独り占めしやがって・・・」と密かに歯軋りしたほどだ。

当時A君はたしか20代の半ばで、15歳の頃から小父さんと暮らしながら板前修業をしていたのだとか。


スラリと背の高い、面長に切れ長の涼しい目元がハニカミながら微笑むと、9人の女達はもうそれだけでメロメロフニャフニャ。


もっともそのうちの二人は乳児だったので最初からフニャフニャ。

私達は寡黙なA君の美味しい手料理と、小父さんの毒舌トークのもてなしで楽しい時を過ごし、ほのほのと田舎に帰って来た。



お元気なら、もう70歳は越えているだろう小父さんと、50代になったA君は、今も仲良く一緒に暮らしているんだろうか。


ケンカすると小父さんがお皿やらをあちこちに投げつけて、A君がそれを黙って拾いに行くのだとか。

動と静


相性は大切だ。



専門学校に行っている頃、バイトしていたレストランのオーナーが良く行く店のバーのマスターはゲイだった。



オーナーは本業が忙しく、夫人がマネージャーとして店を切り盛りしていた。
この夫人が物凄い美人で、女の子が大好きな人だった。

・・・、そう、そうだったのか、この夫婦は。今気がついた・・・。



ライオンズ・クラブのお祭りに模擬店を出した時、バーのマスターが手伝いに来てくれて「あんた女は度胸、男は愛嬌なのよ」と人生の訓示をいただいた事がある。

女は潜在的に強く出来てるから、転がしておいても育つけど、男は遺伝子的に弱いから、可愛がってあげて。とも言われた。


上京した年、電話が欲しくて無理して入れたバイト先の店のウエイターはゲイだった。

今考えると「セーラームーン」みたいな服装と髪型のレジ番のお姐さんと仲がよくて、よく二人で芸能ゴシツプ談義を交わしていた。

二人はとても仲の良い「中年の女友達」に見えた。



休息時間には、仲良くならんでレース編みをしていたが、あんたもやりなさいと誘われたので断った事がある。そしたら「編み物もできないの?それでも女なのっ」と笑われてしまった。



人には得手不得手がある。何が女でどれが男かは、その個人が自分で決めたらいい。
社会が作った垣根に自分からハマる事は無い。

最初に書いた小父さんの妹とセットだった叔母の家の向かいにカットサロンを出した美容師はゲイだった。

叔母さん達と仲が良くて、よく餃子なんかを一緒に作って食べていた。

彼は東京で修行しただけにアカ抜けたカットをすると評判で、随分と繁盛していたのだが、恋人とのいざこざが元で焼身自殺をはかってしまった。


かろうじて助かったのだが、上半身が随分と火傷で引きつり、カットの腕も鈍ってしまってからは、客もまばらになってしまっていた。

最後にあったのは友人の結婚式で髪のセットをしてもらった時だから、もう20年は前。
その時、10代の素朴な少年と一緒にいて、店ははやっていなくても、精神的には穏やかな顔をしていたのが印象的だった。

上京してから仲間になった女の子の、結婚相手だった男は、いつの間にか女になってしまった。今や二人は女同士の親友となっている。


「アタック・ナンバーハーフ」という映画は
、私の心身の状態が良くない頃に上映した為に劇場で見る事ができなかった作品だ。


漸くテレビで見られた。
作品的には荒くて突っ込みどころ満載なのに、見終わってから心の中がほのほのする。
自分の性に違和感を持つ者、同性として愛する者、嫌悪感を抱きながらも次第に受け入れていく者。ゲイとはいえ、いろいろだ。
自分の存在を認めてもらいたいのなら、人の存在もそっくりそのまま認めた方がいい。
他人の存在そのものを脅かすような言葉は、言わないほうがいい。
この映画の中の話と、今日の日記の話は、どちらも実話です。
・・・・しかし、この映画の中に出てくるビー監督という役者は、遠目で見ると我ながらよく似ていると思うのだが・・・。


そして、ノン役のジョージョー。
サイコー!!! もう大好きーーー!!!

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