名古屋で、高校三年の情夫に四歳の息子を殺された母親の顔写真が全国放送のニュースで流れていた。

たまたま私が見たのは、埼玉にいた頃の高校か中学の時の、物凄く垢抜けない写真で、肩のあたりにセーラー服の襟が見えていた。

実際は彼女も骨折して三ヶ月の重傷であるにも関わらず、二人を蹴って死ぬほどの怪我をさせた当事者の男は、未成年である事を理由に顔すら出ない。

わが子を蹴り殺され、自分も大怪我をして、おまけに犯人幇助で未成年の頃の写真が全国にながされている。今の情夫と同じ年かもしれない頃の写真がだ。

殺されてしまった男の子は、生前幼稚園の先生に「お母さんにボクを抱っこするように言って」と頼んだそうだ。

虐待が嫌で、埼玉のおじいちゃんの家に行こうとして、自分のリュックに着替えとティッシュを詰めて、近くの駅で途方に暮れていたそうだ。

馬鹿な親だからこそ、賢い子を授かって、子に教えられる。

馬鹿な親だからこそ、馬鹿な子を持って己の罪を知る。

ちょうど「心臓を貫かれて」という題の映画を見たばかりだったので、余計にこの三人が哀れで、悲しかった。

そして、「俺は五歳の時、兄貴を見限った」というヒロの言葉を思い出していた。


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