どうしょうもなく、奥の部屋の襖が傷んでいた。というよりも、ボロボロやんけっ、と突っ込まれて蔑まれる程にひどくなっていた。20年張り替えないとこうなりますっつー見本そのものであった。

早い話が、奥の部屋の襖を結婚以来、初めてリニューアルしたのである。

すごかったよ〜。あちこち破れてて、雑誌の切り抜きの美形写真が貼ってあったり、カレンダーのイラストが何の脈略なくならんでいたり、一番酷いのは、ガムテがむき出しで貼ってあった処だね。この部屋は本当に、美しいものを愛でるのが何より好きだと豪語している者の住む場所かっつーの。

あまりの野暮さに心の病気になった。と、いうより、住む環境が精神状態のヨロケる原因の一つになるのだと、身をもって確認したのだよ私は。

んで、「休みの日に働かせるな〜」と渋る師父のお尻を突っついて、ようやく張替える事になりました。

襖紙やらの一式を買出しに近くの日曜大工御用達量販店へと2人で繰り出し、そこで、発見しちまったのさ。

ヒロちゃんに激似の青年を!!!

びっくりした。本当に驚いた。

K-1の中迫も似ているけど、こっちの方もなかなかどうして。あの落ち着いているのか、単にぼーっとしているのか判別しにくい様まで良く似ている。

レジ担当だったのでわざわざ其処に並び、名札の名前をしっかりと確認する。計10,025円也。10,030円を出し、おつりの5円をレシートと共に手渡された。

5円だね、君。君の手から私に御縁がやって来たんだね。

ふっふっふっふっふっ。

楽しみが増えたわ。次回はトイレットベーパーでも買いにくるからね。ちゃんと仕事しててね、アルバイトH君。(^。^)

店を出たとたんに師父が「ヒロちゃんに似てたね」とボツリと言った。

「そうそう」と言いながら物凄く頬が緩んでニマニマ笑いをしている事に気がついて、そんな自分に余計可笑しくなってしまった。

ああ、私はこんなにも、ヒロに似ている人を見て喜んでいる。

あんな酷い別れ方をして、二度とまともに顔を見られないと思っていたのに、こんなにも嬉しくて、思わず見とれているなんて。

今までだったら色々な感情が渦巻いて、胸が痛くなって、悲しくて切なくなっていたのに。今日は無条件で喜んでいる。

これならどこかでばったり出くわしてしまったとしても、仮に、「会おうよ」と電話があったとしても、もう大丈夫な気がする。ニッコリ笑って「よっ」なんて挨拶できそうな予感。

あれから、そろそろ4年。時間が解決してくれるって、こんな感じなのかなぁ・・・。

襖の方は師父が1人で大奮闘してくれたお蔭で、すっかりきれい。さすが我が君、と、最近に無い褒め言葉で讃え上げる。

男の子はたまに褒めてやらないと、本当に使い物にならなくなりますからね。気をつけませうね。皆様。(って誰?)

襖が20年振りに新しくなって、私達の気持ちも心機一転。ヒロに対する気持ちの方も随分変わった。あいつはやっばり私達にとって可愛い弟。かけがえの無い仲間だ。

「お互いの気持ちをリセットしましょう」

私にそういい残して去っていったヒロよ。君は今何処で何を思うのか。

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